シンデレラに恋のカクテル・マジック
「よろしく」

　健太が小さく会釈した。大樹がこの前と同じカウンター席で、女性二人組の隣に座って言う。

「結局、永輝はまたバイトの子と付き合うのか。あ、今回は逆か。付き合ってる子にバイトをしてもらうんだな？」

　大樹に言われて、永輝が彼を睨む。

「菜々ちゃんとはそんなんじゃない」
「だって、おまえ、この前……」

　大樹の言葉を永輝が遮るように言う。

「さっさと注文を言え」
「なんだよ、俺はおまえに新しい彼女ができて喜んでるのに」
「菜々ちゃんとはそんなんじゃない。菜々ちゃんには手を出さない、おまえらにも手を出させない。そういう条件でバイトを引き受けてもらったんだ」
「なんだ、それ、つまらん」

　大樹が心底つまらなそうに言った。健太が諭すように言う。

「永輝もたまには女性から離れてみるといいんだよ。その方が、もっと真剣で長い付き合いができるようになるって」
「余計なお世話だよ。で、注文は？」

　永輝がぞんざいな口調で訊くと、大樹が答える。

「いつもの」
「ええと、リンゴジュースだったかな？」

　永輝がニヤッと笑って言い、女性二人組が驚いたように大樹を見た。

「バッカ。誰が……」
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