シンデレラに恋のカクテル・マジック
「穂乃花(ほのか)……」
永輝はつぶやくように言い、目を見開いてその穂乃花と呼んだ女性を見つめている。
「永輝くん、久しぶり……」
穂乃花が小さな声で言った。永輝が我に返ったように、「ああ」と言う。
「あの、いいかな……」
「どうぞ」
遠慮がちに言った穂乃花に、永輝が淡い笑みを見せたが、すぐ横にいる菜々には彼の顔が引きつっているのがわかった。
(まさかまさか……この人が、永輝さんの前の前の前の……何人か前の彼女?)
穂乃花がバーに足を踏み入れ、迷うように店内を見ているので、菜々は努めて明るい声を出した。
「お好きなお席にどうぞ」
「あ、はい」
穂乃花が菜々を見てから、カウンターの一番端の席に座った。永輝は黙って菜々の手から練習用のボトルを受け取り、バーカウンターの隅に置いた。永輝も穂乃花も何も言わないので、店内は重苦しい沈黙に支配される。
「あ、あのっ、ご注文はお決まりでしょうかっ」
なんとか雰囲気を和らげようと菜々は大きな声で言った。
「そうね、ええと……ルビーカシスを」
「かしこまりました」
永輝はつぶやくように言い、目を見開いてその穂乃花と呼んだ女性を見つめている。
「永輝くん、久しぶり……」
穂乃花が小さな声で言った。永輝が我に返ったように、「ああ」と言う。
「あの、いいかな……」
「どうぞ」
遠慮がちに言った穂乃花に、永輝が淡い笑みを見せたが、すぐ横にいる菜々には彼の顔が引きつっているのがわかった。
(まさかまさか……この人が、永輝さんの前の前の前の……何人か前の彼女?)
穂乃花がバーに足を踏み入れ、迷うように店内を見ているので、菜々は努めて明るい声を出した。
「お好きなお席にどうぞ」
「あ、はい」
穂乃花が菜々を見てから、カウンターの一番端の席に座った。永輝は黙って菜々の手から練習用のボトルを受け取り、バーカウンターの隅に置いた。永輝も穂乃花も何も言わないので、店内は重苦しい沈黙に支配される。
「あ、あのっ、ご注文はお決まりでしょうかっ」
なんとか雰囲気を和らげようと菜々は大きな声で言った。
「そうね、ええと……ルビーカシスを」
「かしこまりました」