シンデレラに恋のカクテル・マジック
永輝がいつにもまして低い声で答えた。タンブラーに氷を入れ、カシス、ドライベルモットを注いでトニックで満たし、軽くステアした。そのカクテルの赤色は、店内の淡い照明を浴びて切ないほど深く見える。
「どうぞ」
「ありがとう……」
穂乃花が小さな声で言って、そっとグラスを持ち上げ、口を付けた。しばらく飲んでからグラスを置き、おもむろに永輝を見る。
「あのね、私……」
永輝が無言で穂乃花を見返した。
「智宏(ともひろ)くんにプロポーズされたの」
穂乃花の言葉を聞いて、永輝がかすかに微笑んだ。
「よかったじゃないか、おめでとう」
「本当に……そう思ってくれてる?」
穂乃花が永輝をじっと見つめた。店内にまた沈黙が落ちる。
菜々は二人の会話をこれ以上聞いているのはいけないような気がして、そっと永輝の後ろを通って休憩室に向かおうとした。だが、右の手首を永輝につかまれ、驚いて振り返ると、彼が黙って首を振った。
(ここにいろってことなのかな)
菜々は永輝に手首をつかまれたまま、その場でじっと息を潜める。
「俺がどう思おうと関係ないじゃないか。そういうのは二人の気持ちが一番大切だろ」
「どうぞ」
「ありがとう……」
穂乃花が小さな声で言って、そっとグラスを持ち上げ、口を付けた。しばらく飲んでからグラスを置き、おもむろに永輝を見る。
「あのね、私……」
永輝が無言で穂乃花を見返した。
「智宏(ともひろ)くんにプロポーズされたの」
穂乃花の言葉を聞いて、永輝がかすかに微笑んだ。
「よかったじゃないか、おめでとう」
「本当に……そう思ってくれてる?」
穂乃花が永輝をじっと見つめた。店内にまた沈黙が落ちる。
菜々は二人の会話をこれ以上聞いているのはいけないような気がして、そっと永輝の後ろを通って休憩室に向かおうとした。だが、右の手首を永輝につかまれ、驚いて振り返ると、彼が黙って首を振った。
(ここにいろってことなのかな)
菜々は永輝に手首をつかまれたまま、その場でじっと息を潜める。
「俺がどう思おうと関係ないじゃないか。そういうのは二人の気持ちが一番大切だろ」