シンデレラに恋のカクテル・マジック
「実は昨日、寝る前に考えてたんだけどね……」

 永輝が注文の品が届くのを待つ間、菜々に言った。

「サンドリヨンの最寄り駅前にある商店街が、商店街を盛り上げるためのイベントを毎年八月の第四日曜日に企画しててね、今年も出演者を募集してるんだ」
「どんなイベントなんですか?」
「商店街サマー・フェスタってネーミングのイベントなんだけど、何でもありみたいだよ。各商店は目玉商品を特売したりするけど、それと併行して、去年は中央の噴水広場のイベントスペースで、小学生のヒップホップ教室のメンバーがダンスを披露したし、高齢者のグループが河内音頭を踊ってた。今年もそういうパフォーマーをまだ募集中なんだ」

 そのときトレイにのったモーニングセットが運ばれてきた。この店で一番人気のクロワッサンにスクランブルエッグ、ハム、ベビーリーフが盛られたプレートに、カフェオレが添えられている。

「続きは食べながら話すよ」

 永輝に言われて、菜々は「いただきます」と手を合わせた。クロワッサンをちぎって口に入れたとき、永輝が言う。

「それでね、今年はサンドリヨンとして出演してみようかと思って」

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