異世界の国を救う時間があるなら本を読みます。
王都内は活気に満ち溢れていた。
城下町というだけあって人が大勢住んでおり、それぞれ露店を出している。
売っているものは主に食べ物が多い。
地球で見たことのない色とりどりな果物や野菜。
(見ているだけで楽しいな……)
「少しよろしいでしょうか?」
星々は食べ物の露店を出している男に話しかけた。
「おう!何だい、少年?」
「私のような者がお金を稼げる職場はありませんかね?」
「あー…。仕事探してんのか?」
「ええ、そうです。生活金が欲しいのですよ」
「そうだなぁ……。冒険者ギルドに行ってみたらどうだ?」
「そこは今求人状態にあるんですか?」
「いや、ちげぇ。冒険者になりゃあいい。強かったらそこらの商人より稼げるぜ。危険が伴う仕事だから金はたくさん入る」
「そうですか。わざわざありがとうございます」
「おう」
「ま、お前みたいなヒョロい奴はすぐ死ぬだろうけどな……」という露天商の男のつぶやきは、星々には聞こえなかった。