だからそっちの"好き"じゃない!
優奈side

はぁ…はぁ…

全力疾走で屋上まできて息を調える。

「なん…だったんだろ…」

そう呟いてみて、はぁー…と大きく息をついた。

…いつもみたいに交わせば終わるはずだったのに…

なんでドキドキなんかしちゃったんだろ…

もう一度ため息をついて考える。

…なんか…冗談ってわかってるから…

……胸が、痛い…

思わずきゅっと胸元を握る。

だけど、どうして胸が痛いのかわからない。

だっていつもはこんなことなかったのに…

なのに……

またまたはぁー…とため息をつく。

すると屋上のドアが開き、舞が入ってきた。

「優奈、ここにいたんだ。
そろそろ授業始まるよ?」

そう言った舞の方を振り返って返事を返す。

「…うん、教室戻ろっか」

そう言って舞の方に行ってふと口を開く。

「…あのさ、舞…」

「ん?」

「…やっぱりなんでもない」

私はそう言うと少し俯き、先ほどの疑問を胸に抱いたまま教室に戻った。
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