だからそっちの"好き"じゃない!
すると…

ヒュー…パンパンっ…

「あ…」

花火が始まってしまった。

「予定より早かったみたいだな。
もうここで見る?
みんな立ち止まってるし」

「うん、そうだね…」

私はそう言いながら

まだ繋がれた手を気にする。

トクン…トクン…トクン…トクン…

いつまで…こうしてられるかな。

暗くて周りはよく見えないけど、

流可のきれいな横顔だけははっきり見えた。

不意に流可がこっちを見て目が合いそうになり

再びバッと花火を見上げる。

きれい…だなぁ…

すると不意に私の前方に

おしゃれな男の人がいるのが見えた。

…なんか見覚えあるなぁ、あの後ろ姿…

その人は一人で来ているのか

周りには誰もいない。

…なんだろう、懐かしい…

そして…その人が振り返った。
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