だからそっちの"好き"じゃない!
ごそごそと漁ってやっと取り出した。

「はいっ、どうぞ」

「ありがと優奈」

流可はそう言って微笑む。

…うーん、どっちかっていうと

機嫌いいような気がする…

流可はパラパラとページをめくって

あるページで手を止めた。

「…これ、優奈が解いた?
結構難しいやつだけど」

そう言って流可が見せてきたのは

今日陵君に答えを見せてもらったところ。

そういえばめんどくさくて

テキストに直接書いてたんだよね…

「ううん、陵君に教えてもらったの」

正直にそう言う私。

すると流可はスッと目を細めて

教科書を睨むように見る。

「あ、えーと、る、流可??」

「…え?ああいや、なにも」

流可は私の呼びかけにそう返して

パタンと教科書を閉じる。

「じゃ…これ借りる」

「あ、うんっ。
返すのは放課後でいいからね?」

「ん、ありがと」

流可はそう言うと教室を出て行き、

私もお弁当を片付け始めた。
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