だからそっちの"好き"じゃない!
「…今日、デート誘ったらオッケー貰えたけど?」

「…」

俺は黙って陵を見つめてふいっとそらした。

「…へえ」

そんな俺の態度にイラっとしたのか、

だんだん陵が近づいてくる。

「…よゆーだ。
だけど俺も手加減しねぇよ?」

「…」

「…つっまんね。じゃな」

陵はそういうとため息をついて去っていった。

それと同時に俺は早足で教室に帰って

バンッと乱暴にドアを閉める。

クラスメートが驚いてこっちを見たけど

そんなの構ってられない。

…よゆーだ??

そんなわけない、

いつもいつも優奈のことに対して

余裕だったことなんか一度もない。

今だって……

優奈があいつを好きにならないか

気が気じゃない…

あいつは優奈にはいい奴づらするし、

優奈も心を許してるし、

しかも今回はデート?

…余裕なわけ…ねぇだろ…

俺は心配そうに俺を見る秋の前に座り、

ぐっと拳を握りしめた。
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