だからそっちの"好き"じゃない!
「…うん、美味しい」

「ねっ」

陵君にもそう言ってまた一粒。

これなら結構すぐ無くなりそう♪

「あ、ねえお兄ちゃん、流可は呼ばないの?」

ブドウを頬張りながらそう言うと、

一瞬陵君の眉がピクッとした。

「ああー、なんか用事らしくて後で来るんだと」

「そうなんだ。
ぜひぜひ食べてもらわなきゃねっ」

そう言って笑顔を見せる。

こーんな美味しいの食べなきゃ損だもんっ!

流可もブドウ好きだし喜びそうだなぁ〜。

私は流可が喜んでいるところを

想像してふふっと笑う。

「ん?優奈どうした?」

「う、ううん!なんでも!」

そう言って慌てて

もう一粒ブドウを口に入れる。

や、やだもーなに想像なんかして

一人で笑ってるのよ私…

なんか変態みたいー!!やだぁ!!

私は若干パニックになりながらも、

それが表に出ないように

ブドウの皮むきに集中した。
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