だからそっちの"好き"じゃない!
すると、

ドンっ…

「…優奈?」

顔を上げると…流可がいた。

「なんで泣いて…」

そう言って私の頬に触れようとする流可の横をすり抜けて部屋に駆け込む。

バタンっ!

ドアを閉めて膝を抱えて泣き崩れた。

なんでなんでなんで…!

酷いよ陵君…

酷い……

私……キスなんてされたくなかった…

ファーストキスは好きな人とって…

ハッと顔を上げる。

…好きな…人…

私今…誰を想像した…?

トクン…トクン…トクン…トクン…

…私が想像したのはただ一人、さっき私の涙を拭おうとしてくれた人。

…そう、流可。

ドキン…ドキン…ドキン…ドキン…

…私…もしかして流可が…好き…?
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