だからそっちの"好き"じゃない!
ガチャっ

「優奈、いるか〜?…ってお前ら人の家で何やってんだ!?」

斗真兄ちゃんがそう言って今まさに陵を殴ろうとしていた俺の手を止める。

「…どうした?」

「…別に」

俺はそう言って立ち上がる。

「…そうか。
…陵、お前血ぃ出てんぞ?」

「…うん」

「うんじゃねーだろ消毒しろ消毒」

斗真兄ちゃんはなにか察したのか特に事情は聞かずにテキパキと消毒し始める。

「…流可」

「…はい」

「…ブドウ持ってけ。カウンターにある」

…そういや果物取りに来たんだったか。

俺は既に包んであるブドウを持ってリビングを出ようとする。

「…あと」

斗真兄ちゃんの言葉に足を止める。

「…流可も陵も、…優奈を悲しませることは絶対するな。流可、優奈の部屋行ってやれ」

「…はい」

俺はそう言うと一度果物を置いて、

リビングを出て優奈の部屋に向かった。
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