だからそっちの"好き"じゃない!
「…陵」

「…はい」

俺は陵の方を向いてはっきりと言った。

「…次はないからな」

「…」

陵は黙って頷くとリビングを出て帰っていった。

…はぁー、全くもって

うちの可愛いかわい〜い妹は罪だなぁ。

…っていうか流可って怒るとああなるのか。

実はけっこ〜怖かった。

それほど…好きなんだな。

俺は一人フッと微笑む。

…一途なやつ。

ほんとはずっと前からお前が

優奈にふさわしいって思ってたよ。

…陵よりも。

優奈のことは

さっきなにがあったのかよくは知らないし

大丈夫か心配ではあるが、

流可がいるから俺の出る幕じゃない。

いざってなったら言うだろうしな。

それまで俺は黙って

我が妹の行く末を見守ろう。

俺はそう思ってリモコンを取り、

またチャンネルを変えた。
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