だからそっちの"好き"じゃない!
「…おーこわ。
殺される前に帰るわ」

陵君はそう言うと私に

にこっと微笑みかけて去っていった。

その笑みにゾクッと鳥肌が立つ。

流可はため息をついて私を離し、

前髪をかきあげる。

「…悪かった、怒鳴ったりして…」

「う、ううんっ…」

そう言って俯くと、

不意に舞がいなくなっていることに気づいた。

…もしや…

…告白させようとしてる??

そう思った瞬間、

心臓がドッキドッキと高鳴り始める。

告…白…流可に…

流可を見ると、

唇を噛んで前髪をかきあげて

ぎゅっと握っている。

…流可……

「…流可…」

「……ああ、な、なに優奈?」

流可は我に返ったように

そう言って私を見る。

「…あの…ね…」

「ん?」

ドッキン…ドッキン…ドッキン…ドッキン…

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