だからそっちの"好き"じゃない!
ぎゅっと目を瞑ってそう言い、

恐る恐る目を開ける。

けれど流可は、驚くでも衝撃を受けるでもなく、

優しく微笑んでいた。

「…そっか、ありがと。昨日慰めたから改めてそう思っちゃった?」

えっ、なにか誤解されてる?

「ち、違うの、
流可、私はほんとに…「優奈」

流可はなにかを牽制するように

鋭い目で私を見る。

「悪いけど、好きとか二度と言わないで。
優奈の好きと、俺の好きは違うんだよ」

ドクン………

心臓が嫌な音を立てた。

言わないでってことは、私の気持ちは迷惑…?

それに、

私と流可の好きは、違うって…

溢れそうなものをなんとか耐えて、

ぎゅっと手を握る。

「…わかってた」

「…」

流可は黙って私を見つめる。

そんな流可の視線に耐えられず、

フイッと顔を背ける。

「今日は…一人で帰るね」
< 189 / 255 >

この作品をシェア

pagetop