だからそっちの"好き"じゃない!
流可side

「…行こっか。
あと…
……ごめんね」

優奈がそう言って

少し俯きながら歩き出す。

…ごめんって…何に対してだよ?

そう考えつつ俺も足を進める。

叩いたこと?

気持ちに応えられないこと?

…一晩悩んだってのに、

また今日も一日悩むことになるだろ。

そう思いつつも、

今ギリギリで保っている

幼なじみ、という関係を

これ以上崩したくなくて口には出さない。

いっそ昨日あったことなんか全部忘れてほしい。

…そう思っているのに、

心のどこかで忘れて欲しくない、

もっと意識してほしいなんて思っている自分がいて

そんな自分に心底呆れる。

…バカだなー、俺…。

それならこんな風に普通に接さずに、

素直に自分の心に従ってたらいいってのに。
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