だからそっちの"好き"じゃない!
…だけど…

…いい。

優奈に嫌われようが、

優奈に好きになってもらえなかろうが…

…優奈が誰のものにもならないならそれで。

俺の気持ちが報われないのはわかったから、

十分すぎるほどわかったから…

せめて誰も優奈を、

優奈の心を奪わないでほしい…

…なんて、俺はやっぱりわがままだ。

優奈の心を制するような権利なんか

全くないってのに…

…だけど、

これ以上惨めになりたくないんだよ…

チラッと優奈を見る。

相変わらず俯き加減で俺を見ようとせず、

当然口を開こうともしない。

…ごめん、優奈。

…昨日のことはもう…

……なかったことにしよう。

俺は切なさを含む目で優奈を見つめ、

やがて目をそらして

いつものように学校の門をくぐった。
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