だからそっちの"好き"じゃない!
優奈side

ガタッと椅子を鳴らして静かに腰掛ける。

…はぁ……

ため息をついて窓の外を見る。

こうなるのなんてわかってたけど…

…やっぱりどこかで期待してたのかな。

こんなにも胸が痛い。

……ねえ流可……苦しい…よ…

「おはよう優ちゃん」

声のした方を見ると、隣に座ったのは陵君。

…なんでこんな時に…

…まあ隣の席で今は朝だからだけど…

「元気ないね〜」

「…」

無言で知らんぷりしながら窓の外に視線を走らせる。

「…うっわガン無視とかねぇわ」

………。

「…ったく……
おい優奈。聞け」

…はい!?

「な、なによ?」

な、なんか急に偉そうな口調になっちゃって!

「……悪かったよ」

「…へ?」

「…二度も言わねぇわバカ」

…キャラ崩壊。

陵君って……実はこういう感じだったの?

口調は意地悪だけど…

…なんか、いい人。

それに私……流可にもキスされたわけだし…

それで陵君にだけ冷たいっていうのもな…

「…いいよ。だけどもう意地悪やめてね」

私はそう言って小さく微笑んだ。

「…無自覚のアホが」

「…はい!?」

そうして私と陵君は仲直り(?)をした。
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