だからそっちの"好き"じゃない!
陵side

ようやく泣き止んだ頃、優奈は俺から顔を離した。

「ごめっ…私…」

「…いや、別に」

俺はそう言うとプイッとそっぽを向く。

そうでもしねぇと…心臓が壊れちまいそうだ…

「…帰らねぇの?」

わざと素っ気なくそういう。

「あ…そうだね…流可待たせてるから…」

優奈はそう言って鞄を手に取る。

その言動にイラっとした俺は、つい呟いていた。

「…あいつのせいで泣いてたくせに」

「え?」

そう聞き返した優奈に、俺はまたそっぽを向いたまま声を発する。

「…べっつに?
さっさとあいつ迎えに行けよ。
どうせ図書室らへんにいるんだろ?」

「あ、う、うん…」

「…じゃな」

優奈は俺の言葉に頷き、

「…ありがと、陵君」

そう言って教室を後にした。
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