だからそっちの"好き"じゃない!
残された俺は大きくため息をつく。

…バカだな、俺。

そう自嘲気味に笑いながら髪をくしゃっと掴む。

…流可も…バカだな。

どーせバカみてぇな誤解でもしてんだろ?

くっだらね…

忘れ物を入れた鞄を肩に引っ掛けて教室を出る。

しばらく歩くと前に優奈と流可が見えた。

なんだか普通に、楽しそうに喋っている。

そのとき不意に見えた流可を見る優奈は…

頬は染まっていて、やはりどこか愛しそうな目を向けていた。

…俺には絶対向けられない視線。

思わず胸元をぎゅっと握る。

…優奈……

だけどやっぱり、好きだからこそ…

優奈には、流可しかいないって…そう思う。

ほんと俺はバカだよ。
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