だからそっちの"好き"じゃない!
「…お互いにずっと勘違いしてたの?」

「…まーそういうこと」

流可はそう言って再び私を抱き寄せる。

「…俺はさ、ずっと優奈には好きな人がいると思ってた」

「…え?」

流可を見ると、流可は愛しそうな目で私を捉えていた。

「…苦しくて、辛くて、誰だろうってすごく考えた。
…そいつ殺そうかとも思った」

「ちょちょちょ流可!?「でもさ、それほど、まさかその相手が自分だとは思わなかった」

流可はそう言うとフッと笑う。

「でもそれほど…想ってたよ、ずっと…ずっと…」

「流可…」

私は流可を呼ぶ。

「…ありがとう。あとごめん」

「…ああ。じゃ、今から埋め合わせしようか」

「…え!?」

そう言ううちに流可に唇を塞がれていた。

そして離してまた言葉を紡ぐ。

「…いつもさ、そっちじゃない、そっちの好きじゃないって思いながら毎日好きだ好きだって言ってた」

「うん…」

「…でもやっとほんとに"好き"って伝えられて…すげぇ嬉しい…」

「…私もだよ」

そうしてしばし見つめ合う。

そして同時に言った。

『…好き』






2015/6/1 Thank you for reading
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