だからそっちの"好き"じゃない!
「優奈、髪乾かさないの?」

「えー、めんどくさいよ」

…女子力低い。

まあ可愛いから全っ然いいけど。

「ほら、乾かしてあげるからおいで」

そう言うと

「えー?なら自分でやるよ」

ガーン……

それってつまり、

お前にやられるくらいなら自分でやるよ的な?

うっわーキッツ…。

「だって人の髪乾かすのって結構大変でしょ?」

そう言いながら

ドライヤーを手に戻ってきた優奈。

なんだそういうこと…

ちょっと、っていうか

だいぶほっとした。

そこで俺は笑顔で言う。

「いいよ、それくらい」

「いいの?」

「うん」

「じゃあお願いしまーす」

…よし。

ぐっと親指を立てる。

そして優奈を俺の前に座らすと、

細くて長い髪を乾かし始めた。
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