だからそっちの"好き"じゃない!
ブオ〜という音とともに靡く優奈の髪。

…ほんと綺麗だな。

なんで乾かすのめんどくさいとか言ってんだろ。

大事にしろよなー…

そう思いながら髪を乾かし終え、

手櫛で整えてやった。

「ありがと」

そう言って微笑む優奈に

またもや心臓を射抜かれた。

そんな俺に気づくはずなく、

優奈はまた窓の外を気にしている。

…というより雷を。

「ねえ、もし私に恋人ができて、二人きりのときに雷が鳴ったら抱きついたりするのかな?」

そんなことを俺に聞いてくる優奈は、

やっぱり俺の毎日の告白を本気にしていないらしい。

「…さあ、どうだろ」

そう答えながら

ズキっと胸が痛むのを感じる。

…そうだよな、

いつか優奈にも好きなやつとかが出来て…

そいつに…奪われるかもしれないんだよな…。

そんなことを考えていると、

ゴロゴロゴロゴロ……ピカっ……!!

「やっ!!」

突然雷が鳴って…

優奈が俺に抱きついてきた。
< 32 / 255 >

この作品をシェア

pagetop