だからそっちの"好き"じゃない!
流可、教室にいるかな…?

そう思って流可の教室を覗き込む。

…と

「あ、流可…」

声をかけようとして踏みとどまる。

流可は1人の女子と楽しそうに喋っていて、

なんだか近づけない雰囲気だったから。

今行ったらお邪魔だよね…

そう思って一度教室に戻ろうとすると

トンッと肩が誰かに触れた。

「あ、ごめん…」

そう言って顔をあげると

ぶつかったのは秋君だった。

「優奈ちゃん。どうしたの?
流可呼ぼうか?」

そう言われてぶんぶん首を横に振る。

「流可、なんか女の子と喋ってるから…」

そう言うと教室を覗き込む秋君。

「あー。桐生(きりゅう)さんね」

「桐生さん?」
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