だからそっちの"好き"じゃない!
放課後

「優奈ー」

「あ、うん…」

流可の声にそう返事をして教室の外に。

「…どうした?なんか元気ない。
そういや昼休みも教室いなかったし…」

「えっ…あ、図書館行ってて!
元気はあるよ!?ありあり!」

そう言って早口でまくしたてる。

流可はまだ訝しげだったけど、

それ以上はなにも聞いて来なかった。

それにほっとして気づかれないように

小さく安堵のため息を洩らす。

…実はあの後探してみたところ、

上靴は花壇に投げ込まれ、

シャーペンは結局見つからなかった。

前にも何度か

流可絡みでこういうことはあったけど、

誰かまったく見当がつかないっていうのが

一番腑に落ちない。

考え込んでいると、

流可が私の顔を覗き込んだ。

「…優奈、やっぱ気分でも悪い?」

「いえいえいえいえ!!」

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