だからそっちの"好き"じゃない!
そう言って微笑むと

流可も優しく微笑み返してくれる。

「いーえ。
味いっぱいあるみたいだけど、決めてる?」

「えーとね、チョコもいいと思うんだけどやっぱり定番のカスタードも…う〜、迷うっ!」

「じゃあ半分こするか」

「いいの!?ありがと〜!」

そう言っている私の隣で舞と秋君が

「…なにあの変わりよう」

「ほんと優奈ちゃんにだけだね」

という会話をしているのには気付かずに

二人で話す。

「あ、シュークリームを食べた記念日として印つけよっ」

そう言って鞄からスケジュール帳を

出して書き込む。

「……優奈、そのスケジュール帳…変えた?」

そう言われてドキッとすると同時に

舞からの視線を感じる。

…隠された…んだよね…

でもあれ、流可からのプレゼント…

私は迷った末に、

流可の方を見て

下手な愛想笑いを浮かべた。

「……ううんっ、二つ持ちにしたのっ」

「…へぇ」

「うんっ。…よし、書き込み完了っ」

私はそう言ってペンを仕舞い、

気まずい思いを隠すように

ペラペラと喋った。
< 69 / 255 >

この作品をシェア

pagetop