だからそっちの"好き"じゃない!
放課後

「優奈、今日ストーカーは?」

舞の言葉にため息を吐きつつ答える。

「…"ストーカー"はいないけど、流可は今日日直らしくて。
先帰っていいって言われたけど待っとくの」

「そうなんだ。…危険だからストーカーの教室行ってなさいよ?」

「う、うん」

舞は私の返事に念を押すようにうんうん頷くと、

「じゃあごめんね、私は先帰る」

「うん。ピアノだったよね?頑張ってね」

「ありがとっ」

舞はそう言うと私に向かって

微笑んで去って行った。

そこで私も荷物を持って教室を出る。

流可の教室に向かって歩いていると、

不意にどこかから

クスクス笑う声が聞こえて、

どこからかと思って辺りを見回すと、

私のいるところの左側にある

空き教室からだとわかった。
< 73 / 255 >

この作品をシェア

pagetop