だからそっちの"好き"じゃない!
「そ、そうかもしれないけど私平気だから!全然…平気…だから…」

最後の方はなぜか声が小さくなってしまって、

俯いていると

流可がこっちに来る気配がした。

「…震えてる」

そう言ってそっと私の頰に

手を添える流可。

そんな流可に、

少し震える声で言葉を紡いだ。

「お願い…流可…桐生さんたちのこと…殴らないで…」

少し沈黙があった後、もう一言、

「そんなとこみたくない…」

そう言ってじっと流可の目を見つめると、

流可はフイッと目をそらした。

「…女だからって許してたら…もっと付け込まれる」

「そんなこと…!」

「…ある。だからちょっと待ってて」

そう言うと流可は立ち上がって

女の子たちの方に行く。

「えっ、ちょ、流可…!ダメ!」

流可はスッと拳を振り上げると…

…ダンっ…!!!

桐生さんたちの前にある教卓を

拳で思いっきり叩いた。

「…優奈の優しさに感謝しとけよ。
ほんとだったら殺すまでボコボコにしてる。それほどのことしたんだからな。
次やったら…覚えとけ」

流可がそう言うと、

後ろから乾いた笑い声が響く。

「はっ…できんのか?相手女子だぜ?」

そう言ったのはボコボコにされた男子生徒。

流可は黙ってつかつかとその人に歩み寄り、
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