【彼氏、捨ててやります】
「はーい…」
玄関を開けると…。
そこには意外な人がいた。
「杏奈ちゃん…大丈夫?調子どー?」
「………………と、斗真、先輩?」
「びっくりしただろ?ごめんな、急にきて」
「い、いえいえ。わざわざお見舞い…に?」
「んー…、まぁ、いろいろあって俺がくることになってさ」
と、ゼリーや果物が沢山入った袋を見せながら笑う斗真先輩。
「はい」と、その袋を私にくれた。
「……ありがとうございます‼︎」
当たり前だけど、熱があっても、斗真先輩はやっぱりかっこいい。
「それじゃ、俺そろそろ行くね」
「ま、待ってください‼︎あの…、せっかく来てくださったし、よかったらコーヒーだけでも淹れます‼︎」
「いやいや…そんな、病人にさせるわけにはいかないし。ゆっくり休んで?」
「……でも」
その時、フラッと倒れた身体。
あああ、これ絶対痛いやつだ…。
と思って目を閉じた瞬間、
ギュッと抱きしめてくれた斗真先輩。
「…杏奈ちゃん⁈大丈夫⁈」
「…すみま……せん」
このまま意識を手放しちゃダメだ。
と、頭では考えてるんだけど、やっぱり体はゆうことを聞かなかった。