【彼氏、捨ててやります】




「斗真先輩、ごめんなさい…。私、もう涼に別れようって言っちゃいました」


「謝る必要なんてねーよ。けど…なんで?」


「…………いお…と。…いおと涼が……っ…昨日、…っ」



涙が出そうになったけど、これ以上先輩に迷惑をかけちゃダメだと思って、がんばって耐えた。


「うん…」


「昨日…涼と、いおが授業抜けて……それで、帰ってこなくて…。
…そしたら…いおが泣いて帰ってきて…それで…」


そこまで話すと、たまっていた涙が溢れた。


「……っそれで……っ」



___ぎゅっと、斗真先輩の温かいぬくもりに包まれた。


「もう、いい。……やっぱり、もう話さなくていいから」


「…っごめん、なさいっ…」


必死に泣き止もうとする私に、斗真先輩は「我慢すんな」と、頭を撫でてくれた。




斗真先輩…、ありがとうございます。


まだ出会って間もないのに、斗真先輩の腕の中はとても安心できた。




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