【彼氏、捨ててやります】
「っはぁ、はぁ…っうう、っく…」
気づくと、上履きのまま校門の外まで走り抜けていた。
少しの期待を胸にして、後ろを振り返った。
けど………涼は、追ってこなかった。
「っ…もう、私、なにやってんだろ…バカみたいに、1人で浮かれて…っ…」
走った後の息切れと嗚咽で、息をするのがしんどい。
「…っう、げほっげほっ…」
「杏奈…っ?!!!!…大丈夫⁇」
いお…………。
走ることが一番きらいな、いお。
なのに、こんな息を切らせて…。
いおの顔をみるといままで溜め込んでいたものが全部溢れて…涙が止まらなかった。
「いーおー…っ、いおー…私っ…もう、無理…っ」
「杏奈……」
いおは、何もいわずにただ私を抱きしめて背中をさすってくれた。
「杏奈…、ごめんね…。私、さっき、見てたのに、杏奈が泣いてたのに、二ノ宮くんに何も、言えなかった。
私…最低だよ。ほんとに、ごめんね」
「………っなんで、いおが謝るの…っ。今だって、…いおがいなかったら、私っ…」
いおも一緒になって泣いてくれた。
いおが居てくれて…ほんとによかった。
「いお…ありがとう」