【彼氏、捨ててやります】
それから、いおは少し泣き止んだ私を家まで送ってくれた。
「あら、伊織ちゃん‼︎久しぶりね、って、杏奈…?どうしたの、目が腫れてるわよ?」
庭の花の手入れをしていたお母さんが、いおと私に気づいて玄関まで走ってきた。
「ちょっと、花粉がひどいんですよ‼︎」
「…ふふっ、そうね。確かに」
気を使ってくれたいおと、何かを察してくれたお母さん。
そんな優しさが、今はすごく助かる。
「それじゃ、杏奈、またあとで連絡するね‼︎じゃあ、杏奈ママ、杏奈、ばいばい‼︎」
かわいい笑顔で手を振るいお。
ほんと、いおには感謝ばっかり…。
ありがとう なんども心の中でそう繰り返した。