イジワルな君に恋しました。
「奥村せんぱ……」
「ねぇ陽菜」
私の声を遮って、顎を指で挟んでクイッと上を向けさせられる。
至近距離で奥村先輩と目が合う。
どこか先輩の瞳は不安げに揺れている。
どうしたらいいかな?
どうしたら、笑顔になってくれる?
「えっ……陽菜?」
頬を押さえて、目を見開く先輩。
先輩が驚いているわけは、きっと私が手を首に回し精いっぱい背伸びをして、頬にキスをしたから。
「えへへっ」
手は首に回したまま、先輩に微笑む。