イジワルな君に恋しました。
「早川さん……だっけ?」
手を空に向かって伸ばしリラックスするようにしていると、誰かに名前を呼ばれた。
だから振り返ると、そこにはさっき翼先輩に抱きついていた田辺先輩がいた。
今、田辺先輩の顔は見たくなかったのに……。
私って最低かもしれないけど、そう思わずにはいられなかった。
「後夜祭で決着つけない?
もしあたしが後夜祭のラストのダンスを翼と踊れたら、今後一切翼に近づかないで」
「え……」
「まぁあなた達今ギクシャクしてるみたいだし、この勝負は私の勝ちね」
田辺先輩は勝ち誇ったような笑みを浮かべると、私に背を向けて歩き出した。
その後ろ姿をボーっと見つめる。
今もちゃんとしゃべれないのに、そんなの私に勝ち目なんてないじゃん……。