ひねくれ作家様の偏愛
出会って4年になる。当初、私たちの関係はこうではなかった。
あきらかに上の立場にいたのは海東くんだった。

だから、彼はその時のクセが抜けていないのだ。
私を下に見て、貶めておくクセ。

いや、やっぱりあれは元々の性格かもしれない。
聞いたところによると、上流なご家庭の生まれらしいし、自分が一番偉いと思っている節はある。

誰が見たっていけ好かない23歳男子・海東智。
あ、この前、24歳になったんだっけ。



「桜庭―、原稿サンキュー」


呑気な声でメディアミックスのフロアを闊歩してくるのは、同期でアプリグループの飯田毅(いいだつよし)だ。


「はい、これ」


私は海東くんから預かった原稿のプリントアウトとフラッシュメモリを渡す。
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