ひねくれ作家様の偏愛
最初こそ余裕たっぷりだった海東くんも、行為が進むうち熱を帯びてきた。
互いに触れ合い、確かめるように前戯をした。
行為が持つ原初の快楽が、彼を本応のままに操り出す。
貫かれ、初めての痛みに身を捩る私を抱き締める頃、海東くんの余裕は消えうせていた。


『痛い……ですか?』


『……お願い……動かないで……』


私の懇願も虚しく、彼は私の足をすくい上げ、深く腰を沈める。


『海東くん……お願い』


涙交じりの私にキスをして、海東くんは言う。


『ね、名前で呼んでください。俺も呼ぶから』


『とも……くん』


『ちや……。ははっ……、本当の恋人同士みたいだ』


海東くんは熱っぽく言って、私を抱き締めた。
私の肩口に顔を埋める。茶色い髪が私の頬をくすぐる。

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