ひねくれ作家様の偏愛
「この前、雨のひどい日に、友達がうち寄って着替えてったんだ。今日、外出のついでに、そいつの会社に置いてこようかと思って」


小松がいっそう面白くなさそうに唸った。
嘘だけど……微妙に嘘じゃない。このくらいのごまかしはしてもいいはず。


「なーんだ。てっきり、飯田さんのかと思ったぁ。桜庭さんが付き合ってないってことは、ウチの同期に飯田さん狙ってOKって言っちゃっていいですか?」


めげない小松は重ねて聞いてくる。
さすが、女子力スーパーサイヤ人クラス。
メンズ斡旋業にも余念がありませんなぁ。


「あー、いいよ、いいよ。でも、飯田ロリコンだからね」


私が苦笑いで言うと、背後から声が降ってきた。


「誰がロリコンだ、誰が」


小松とそろって振り向くと、噂の君・飯田毅がそこにいた。

いつも絶妙のタイミングでやってくる。
仕事をしてるのかと心配になるくらい。


「あ、飯田。おまえのことだけど」


小松がきゃーっと小さく歓声をあげ、会釈しながら去っていく。
さすがに話題にしていたイケメンが現れると気まずいらしい。スーパーサイヤ人でも。

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