ひねくれ作家様の偏愛
私は驚いて変な声をあげてしまう。

それから、呼吸を整える。
今更、手くらいで動揺してもしょうがないじゃない。

彼の気まぐれはいつものこと。
この前の抱擁と同じ。発作的なものだ。


「いいよ」


答えると彼の右手が私の左手を捉えた。
柔らかく、手のひら同士が密着する。
指の腹が手の甲にひたりとくっつき、海東くんの温度を伝えてくれる。

温度の安らぎと間逆に、早くなる鼓動。
参ったな。
男の人と手をつなぐのなんて初めてだ。

きっと、海東くんにもバレてる。
だけど、それも今更の話。

身体は以前つないだのに、手をつなぐとものすごくドキドキする。
順序が逆だ。
だけど、なぜかやたらと嬉しい。


「釣り合わないね、私と海東くんじゃ」


困惑を隠すように言葉にする。


「何が？」


海東くんは私の言う意味がわからないみたい。


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