ひねくれ作家様の偏愛
不意に海東くんが顔を離した。
あまりに急に終わったキスに私は戸惑う。


「ごめん……、下手だった……?」


気に障ったのかもしれない。
おずおずと彼の顔をうかがうと、海東くんが再び私を抱き寄せた。

膝の裏と背に手をかけ、私の身体を抱えあげる。
小柄とは言えない私を容易に抱きあげられる力が、彼にあるとは思わなかった。

そのまま、海東くんは寝室に引き返すと、どさりと私をベッドに降ろした。仰向けにシーツに転がる私。
猶予無く、彼が私の両手に杭打つかたちで覆いかぶさってくる。


「海東くん!?」


「嫌なら拒否してください」


海東くんは強引な態度と裏腹に、泣き出しそうなほど切迫した表情をしていた。
さっきのキスと一緒だ。瞳が不安で揺れている。


「嫌なら、そう言ってください!そうしたら……今度こそあんたを諦めるから」

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