ひねくれ作家様の偏愛
私は、海東智が好き。

ものすごく大事で、彼の我儘も含めすべて愛している。

抱き合ってみて、あらためてわかった。
私はずっと彼に恋していたのだ。

最初は彼の創作物だけだと思っていた。
だけど、違う。そんな気持ちで身体は開けない。
彼の我儘に振り回されながら、惹かれていたなんて、私の精神はどれだけMなんだろうとあきれてしまう。

この恋は、私の遅すぎるくらいの初恋。



しかし、海東くんにとってはどうだろう。

私は彼の人生のどん底にさした光なのかもしれない。
彼を丸ごと肯定する存在が、今は必要なのかもしれない。

だけど、海東くんがまた光のあたる場所に出たら、この状況は変わる。
彼を持て囃す人間に囲まれたら、私は特別じゃなくなる。

海東くんはその時、私との関係を後悔するだろう。
確信を持ってそう思う。
若く才能溢れる作家と、地味で年上で美人でもなんでもない編集者。
私と彼とは、どう転んでも釣り合わない。
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