ひねくれ作家様の偏愛
②
土曜日、海東くんの指定は銀座に12時だった。
数寄屋橋交差点で待ち合わせという、なんとも銀座初心者コース。
私は本日も何を着たらいいかわからず困り果て、今回はハイスペック女子力部下の小松に相談した。
勿論、海東くんとデートなどというとんでもない告白はせず、
『お世話になった親戚の伯母と銀座なんだけど、デパートで買い物したり、ちょっとこじゃれた店でランチってどんな服が相応?』
という情けない聞き方をした。
小松曰く
『ハズレのないのはワンピースです。柄はあってもいいですけど、膝丈でパンプスと同系色にすると落ち着いて見えますよ』
とのこと。
ワンピースも、似合う靴もない私は昨夜の仕事を早く切り上げ、新宿に出ると小松に教わった店で一式そろえた。
お店は落ち着いていて、私がジーンズにパーカーでのっそり買い物に入っても、店員さんの無駄に高いテンションに翻弄されるということはなかった。