ひねくれ作家様の偏愛
確かに目の前の海東くんはすこぶるイケメンだ。

今日は、デザインTシャツに白のグラフチェックのシャツ、ベージュの半端丈パンツ。伊達メガネは丸い小さいもので、普通の男子ならまず間抜けに見えるのに、彼ほど顔かたちが整っているとモデルのように似合う。

全然、釣り合ってない。
小松の力まで借りて精一杯シャレオツしてきた私ですが、まったくそぐわないどころか、絶対周りの女子に思われてる。

『彼女の方、ブスじゃない?』
みたいな。


「桜庭さん、可愛いな」


海東くんがしみじみ言うので、私は余計狼狽する。

全然、真実味ないんですけど。

しかし、彼は大真面目なようだった。


「俺のために、こんなに頑張ってくれるなんて嬉しいです」


「あはは、海東くんカッコイイからさ。あまり連れて歩きたくないカッコじゃマズイかなと」


「俺はダサい黒ぶちメガネで髪ボサボサで、ジーンズ姿の桜庭さんも大好きですよ」


面と向かって「好き」と言われたのはあの夜以来で、私はいっそう困った。
そんな風に好意を前面に出さないでほしい。
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