ひねくれ作家様の偏愛





初めてのデート(らしきもの)は無事に終わり、私たちは帰路へ着くことになった。


「プライベートな時間に悪いんですけど、ちょっと今書いてるもののチェックをお願いしてもいいですか?」


海東くんは連載が決まった作品とは別なものも書いている。
次の連載がうまくいけば、彼にはまた別なチャンスがめぐってくるはず。そのために、書けるときに書いた方がいいと言ったのは私。
“専属契約”という名称も、連載開始時に作品単位の契約に変わった。余所から仕事をもらうにはちょうどいい。

海東くんに相談されては、私だって張り切ってしまう。
彼の部屋に寄って打ち合わせをしてから帰ることにした。

海東くんのマンションにたどり着くと時刻は17時半。
初夏の日は長く、まだ真昼のように明るかった。


エレベーターに並んで乗り込み、27階を押す。


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