ひねくれ作家様の偏愛
「結構、疲れたね」


私は海東くんに同意を求めた。海東くんは首を横に振る。


「運動不足なんじゃないですか?会社にこもって編集ばっかりしてるから」


「海東くんだって、文筆業じゃない。私とたいして変わらないんじゃないの?」


「俺は自由業なんで、スポーツクラブくらい行けます」


「え、そうなの?」


なんだか、裏切られた気分。
でも、確かにこの前見た彼の裸体は引き締まっていたし、私を抱えあげた腕も貧弱ではなかった。
いやいや、恥ずかしくなるから思い出すのはよしておこう。

エレベーターが上昇する。

不意に海東くんが私の肩をつかむ。
驚く間もなく抱き寄せられた。


「か……海東くん……」


「やっと触れた」

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