ひねくれ作家様の偏愛
「海東くん、来たよ」
声をかけながら、短い廊下を進みリビングダイニングのドアを開けると、海東くんはソファで寝ていた。
コーラと菓子パンとコンビニ弁当の空がテーブルに散乱している。
「海東くん」
「…………なんですか?待ちくたびれました」
海東くんがうっすら目を開け、やおら身体を起こした。どうやら、本人も寝るつもりはなかったようだ。
そうだろうな。水曜13時に打ち合わせを指定したのは彼だもん。
「今日の用向きは?」
私はいち早く呼び出しの要件を聞く。
何故なら、一秒でも早く帰りたいほど、仕事がまずいからだ。
来月15日発売のライナーズ文庫の印刷所入稿が明後日に迫っている。校了は明日予定。
自分の担当作品はもちろん、部下の担当作品も三校原稿の最終チェックをし、今夜には編集長に渡したい。
「原稿、書けたんで見てってください」
海東くんはあくびをしながら、仕事場を指差す。
相変わらず、リビングに用意をしておくというささやかな気遣いもしない。
声をかけながら、短い廊下を進みリビングダイニングのドアを開けると、海東くんはソファで寝ていた。
コーラと菓子パンとコンビニ弁当の空がテーブルに散乱している。
「海東くん」
「…………なんですか?待ちくたびれました」
海東くんがうっすら目を開け、やおら身体を起こした。どうやら、本人も寝るつもりはなかったようだ。
そうだろうな。水曜13時に打ち合わせを指定したのは彼だもん。
「今日の用向きは?」
私はいち早く呼び出しの要件を聞く。
何故なら、一秒でも早く帰りたいほど、仕事がまずいからだ。
来月15日発売のライナーズ文庫の印刷所入稿が明後日に迫っている。校了は明日予定。
自分の担当作品はもちろん、部下の担当作品も三校原稿の最終チェックをし、今夜には編集長に渡したい。
「原稿、書けたんで見てってください」
海東くんはあくびをしながら、仕事場を指差す。
相変わらず、リビングに用意をしておくというささやかな気遣いもしない。