ひねくれ作家様の偏愛
7時まで部屋で待ち、出社するため彼の部屋を出た。

自宅に戻り、シャワーと着替えを済ませ出勤。
今日は金曜日。

土日なら彼を探しに行けるのに。
もしくは部屋でずっと待つことができるのに。

暇を見ては海東くんに電話する。ラインも送る。

だけど、返信はない。



飯田が仕事の合間に会いに来た。

私の返答がすでにわかっていたようで、顔をあわせるなり苦笑いされた。


「あんな風に置き去りにされたら、おまえの矢印がどっちに向いてるか丸わかりだよな」


「ごめん、飯田」


私は素直に謝った。
これ以上、詳しく聞かれても何も返せないけれど、飯田の好意をこのまま受け取るわけにはいかない。


「俺は簡単には諦めないよ。だけど、今は一回引く」


海東センセと話つけてこい。
そんなことを訳知り顔で言って、飯田は自分のフロアに帰っていった。

飯田の思いやりがありがたい。いや、わずかばかりの情けだろうか。
私の様子で、海東くんと何かあったことは察しているのだ。
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