ひねくれ作家様の偏愛
自分のデスクに着くと、荷物を放り投げ書架を調べる。契約書の中にあるはずだ。

海東くんの契約書。

この前の連載に関する契約書じゃない。
一番最初、10代の彼がライナーワークのソフト開発グループと結んだ契約書を、私は譲り受けていたはず。

年代別に整理されていると信じて探すが見当たらない。
この編集部には、自分も含め、書類をまっとうに管理する能力が足りないようだ。

30分以上探し続け、ずいぶん古い書類の中からそれは見つかった。
未整理のクリアファイルに挟まった海東くんの契約書。

続いて、そこにある目的の情報を探す。
海東くんの名前と保護者の住所氏名をチェックする。


「あれ?」


私は呟いた。

ともかく住所を写し、私は急ぎオフィスを後にした。





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