ひねくれ作家様の偏愛
「……声がでかい。うるさい」


電話の向こう、不機嫌な声が言った。


「実家にまで行くとか、バカですか。あんた」


「それは……ごめんなさい。でも、なんで知ってるの?」


「母親から連絡がありました」


そう言って海東くんがため息をつく音。
電話を切られる前に慌てて問う。


「今どこにいるの?おうちに戻ってる?」


「それ、聞いてどうするんですか?」


「きみと話がしたい!」


私はまたしても怒鳴るように言った。
しばしの沈黙。


「声がうるさい。……今、お台場の観覧車のところにいます」


「観覧車!パレットタウンだね!待ってて!1時間以内で行くから!」


有無を言わせず電話を切って、駆け出した。



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