ひねくれ作家様の偏愛
「タチの悪い絡み方して申し訳ないと思う。でも、私には初恋だったの。海東くんが全部の最初なの。もうきみを追いかけない。きみの作品を待ったりしない。そりゃ、どこかで創作を続けて欲しいとは願ってる。
だけど、私はもう関与しない。
……お願い。きちんと振って。私もきみへの執着を断ち切って前に進みたい」


初めての恋。
だけど、やっぱり終わりにしなきゃいけない恋。
振り回し合うのも、依存し合うのも、私たちの時間を止めてしまう。

彼の作品に恋し、彼自身に恋した私は、今日でおしまいにする。

海東くんには前を向いていてほしい。
そして、別な方向であったとしても、私も前を向きたい。


だけど、切ないな。

海東くんの一番近くにいたのは、たぶん私だったから。

未練がましく涙が溢れる。


急に海東くんが私の手首をつかんだ。

次の瞬間、勢いよく引き寄せられた。

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