ひねくれ作家様の偏愛
「不本意かもしれないけど、イイ宣伝だから頑張って」


インタビュアーの編集者は事前打ち合わせだとかで隣室にいる。
一応、聞こえないように声をひそめる私に、海東くんは再びため息をつき答えた。


「わかってます。新人作家としてはどんなかたちでも、注目されるのはありがたいですからね」


「大丈夫、ちゃんと作品も評価してもらってるから。そうでなきゃ、呼ばれないよ」


私はフォローするけれど、海東くんはまだ不満顔だ。


「じゃあ、俺の写真なんかいらないじゃないですか」


確かにね。でも、きみがすっごく誌面映えするのも事実です。

まだ、誰も来ないのを確認して、私はそろりと立ちあがる。
海東くんの背後に近付いて、彼の両肩に手をのせた。


「……本音を言えば、あんまりメディア露出してほしくはないかな」


ぐるんと勢いよく海東くんが私に向かって首をねじる。
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